かぜ はウイルスなので、抗生剤は効かないという話をこれまでに書いてきました。
でも、みなさん病院受診して、かぜ なのに抗生剤もらったことありませんか?
多分ほとんどの方がもらったことあるのではないかと思います。なぜでしょうか?
この理由としては、以下の要因が挙げられると思います。
①担当医師の知識不足(かぜ と抗生剤が必要な細菌感染が見分けられない)
②細菌感染などの合併症予防として念のため処方されている。
③患者さんに希望されて処方
①前々回に書いたように
・のどの痛みがひどい時:溶連菌感染など抗生剤が必要になることがある。
・鼻水がひどい時:副鼻腔炎(ふくびくうえん)の中には抗生剤が必要な細菌性の場合がある。
・咳がひどい時:肺炎などでは、抗生剤が必要になることがある。
わけですが、これら抗生剤が必要になる病気と かぜ が区別出来ていないことがあるのです。
なので、本来必要ない場合でも出されてしまうわけですが、
のどの痛み、咳、鼻水が揃っていて発症して2,3日以内であればまずウイルス性(つまり かぜ)であり、抗生剤は原則不要です。上記ののど、鼻水、咳、3つのうち1つのみや、2つのみでも、ほとんどのケースが抗生剤は不要です。
②も非常に多いです。肺炎などになったらいけないから念のため処方 というものです。
実際に、抗生剤がかぜをひいた後の肺炎予防になったという論文もあります。ただしこれは、1人合併症を予防するのに、4000人近く無駄な抗生剤を処方したというものです。(4000人近くはウイルス性で抗生剤はそもそも必要なかった)
一方、抗生剤を飲むと10人に1人くらいは下痢などの副作用が出ます。つまり、効果がほぼないのに、副作用だけ発生させているので予防投与は割に合いません。
③これも多いのですが、気をつけないといけないのは副作用だけでなく、不要な抗生剤を飲んでいると将来耐性菌で苦しむことになることです。実際に、抗生剤の乱用によって近い将来ガンで亡くなる人より、耐性菌が原因で亡くなる人の方が多くなることが指摘されています。